「嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」
2017年 06月 02日
エドワード・ヤン監督の1991年の幻の作品がリバイバルで上演していることを知って、急遽見に行って来ました。
しかし休み無しのぶっ通し3時間56分は、見る前に気力を削ぐ感じですが、実際見てみるとあっという間に過ぎていきます。これはとっても不思議な体験でした。
台湾で実際に起こった14歳の少年による殺人事件をモチーフにしており、その当時(1961年)の台湾情勢を反映している作品となっていますが、まったく台湾情勢が分かっていない自分には???だらけでした。とりあえず中国から台湾に逃げてきた移民の人たちは色々迫害されてきたんだなという普通の感想しか沸きません。
そういう不安定な台湾事情で、少年たちも不安定で色んなグループが対立していきます。またこの少年たちがみな似たような顔をしているので、まったく区別がつきません。ハニーさんだけは水兵さんのコスプレしていたので分かりやすかったのですが、すぐ殺されちゃいますからね・・・・
主人公は一応デキは良いけど、ちょっと引っ込み思案の多感な少年で、不良グループになんとなくいじられる感じ。それが恋をしたからありゃ大変。しかもその恋の相手は、一途(ハニーさんをずっと待っていた)で身の固い女の子と思いきや、大人や不良グループのボスを手玉に取るぐらいのヤリマン女。しかも主人公が受験のために会うのを控えていたら、主人公の親友である金持ちぼんぼんにべったりするという尻軽女。でもこの子そんなに美人ではなく、地味なんですが惹かれるものがあるというこのミステリアスな雰囲気がたまりません。演じたリサ・ヤンはこの作品のみの出演というのがもったいない。
結局親友をぶっ殺すために持っていたナイフで衝動的にこの恋人を殺してしまう訳ですが、もうこの少年が可愛そうでしょうがない・・・私は絶対に変わらないと少年そのものを拒否した台詞は痛すぎる・・・・これは台湾(女の子)は中国(男の子)に干渉されても絶対に変わらないという意味もあるのだと思いますが・・・ぱっと見はよくある痴話喧嘩のもつれなんですけどね・・・
とにかくいろんな意味で記憶に残る映画でした。こういう作品をスクリーンで見れて満足。これを家で見たら最後まで見れるかどうか・・・(笑)