「風立ちぬ」
2013年 09月 12日
宮崎駿監督の引退作。
設計者と芸術家が真の力を発揮できるのが10年程度、だからその10年を如何に頑張るか!というシーンが何度も出てきます。
今まで散々体力の限界でこれが最後と言って来ましたが、この作品を見た後だと、本当に今回で最後にするという強い意志が見えました。本当に長い間お疲れ様でした。
今回の映画は、飛行機を愛するエンジニアとその儚くも脆い恋を描いた作品。今までの彼の作品と比べ、凄く地味な題材であります。しかし彼の全ての愛情が込められた集大成となっています。
特に実際にものづくりを仕事としている人にとっては、主人公の堀越二郎の生き方には凄く納得するのではないでしょうか?一つ一つの部品に対する執拗なこだわり、実験に失敗したときの落胆とそれにもくじけない闘志、本当に飛行機を愛する仲間たちとの連携などなど。友人とのライバル関係もいい味だしてました。
まあ恋愛のお話は、かなり生々しい所もありますが、お涙頂戴に走らずあっさりと後は想像にお任せしますというのが良かったです。ここをベタでやられるとキツイなと思っていたので(笑)
主人公の声を演じた庵野秀明ですが、予告を見て素人丸出しで全然ダメと思ってましたが、いやいや素晴らしい。主人公にはこの朴訥の声が凄く似合っています。またヒロイン役の声の瀧本美織も素敵でした。
余談ですがあるパーティで、いきなり「Das gibt's nur einmal(ただ一度だけ)」をドイツ語でみんなで歌うシーンに感動してしまいました。まさかここでこの曲を聴くとは!